米国税理士とは英語でEnrolled Agent (EA) と呼ばれ、アメリカ合衆国内国歳入庁(IRS)によって認定された税務専門家です

アメリカでは所得を得た人は原則すべてタックスリターンの申告をする必要がありますが、それを正確かつ効率的に申告できるように支援するのが税理士 (EA)や会計士 (CPA)の役割です。タックスリターンの観点ではEAもCPAも同等の権限をもってクライアントの税務上の問題に対応できます。

Enrolled Agent (EA)

Enrolled Agent (EA) は、アメリカ合衆国内国歳入庁(IRS)によって認定された税務専門家です。EAは、税務上の問題について全ての納税者を代理し、IRSの各オフィスで活動する権限を持っています。EAは、以下のような役割を担います:

  • 税務申告の提出(タックスリターン): 個人、パートナーシップ、企業、信託、相続人などの税務申告を行います。
  • 税務相談: 税務計画や税務問題のアドバイスを提供します。
  • 税務調査の代理: IRSの調査や控訴において納税者を代理します。
  • 税務訴訟の代理: 税務上の紛争を解決するために訴訟を行います。

EAの資格取得には、3部構成の試験(Special Enrollment Examination、SEE)に合格するか、かつてIRSの従業員であった経験が必要です。また、EAは3年ごとに72時間の継続教育を受ける必要があります。

※ IRSのEnrolled Agentについての情報はこちら

CPA(Certified Public Accountant)

CPAは、州ごとに認定された公認会計士であり、会計や税務に関する幅広い知識とスキルを持っています。CPAは、以下のような役割を担います:

  • 財務報告: 企業や個人の財務状況を評価し、財務報告を行います。
  • 監査: 企業の財務状況を監査し、公正性を確認します。
  • 税務申告: 企業や個人の税務申告を行います。
  • 財務計画: 企業の財務計画や戦略を立案します。

比較

  • 専門分野: EAは税務専門家であり、CPAは会計と税務の両方に精通しています。
  • 資格取得: EAはIRSによって認定され、CPAは州ごとに認定されます。
  • 役割: EAは税務上の問題を専門とし、CPAは財務報告や監査も行います。
  • 代理権限: EAは全ての納税者を代理でき、CPAは州ごとに制限があります。

このように、EAとCPAはそれぞれ異なる専門分野と役割を持っていますが、どちらも税務に関する知識とスキルを活かして、企業や個人のために貢献しています。

EAの資格試験について

EA資格は、アメリカ合衆国内国歳入庁(IRS)が認定する国家資格で、税務に関する専門知識を証明するものです。この資格を取得することで、アメリカ国内で税務申告業務を行うことができます。

試験内容

EA資格試験は、以下の3つの科目から構成されています:

  • Individual Tax (試験時間:2時間30分)
  • Business Tax (試験時間:2時間30分)
  • Representation, Practices, and Procedures (試験時間:2時間)

受験資格

EA資格試験には、18歳以上であれば誰でも受験できます。学歴や職歴の制限はありません。

試験の難易度と準備期間

EA資格試験は、日本の税理士試験と比較すると難易度が低いとされています。初学者でも学習開始から6ヶ月~8ヶ月程度で準備が可能です。試験はすべて四肢択一問題で、記述問題はありません。

試験の特徴

  • 試験形式:四肢択一問題のみ
  • 合格率:各科目の合格率は約60~70%
  • 短期間での合格:初学者でも短期間で全3科目合格を目指せる

資格取得後のメリット

EA資格を取得すると、名刺に「EA(米国税理士)」と記載できるようになり、実務経験なしでも「EA(米国税理士)」として登録可能です。これにより、税務業務のステータスアップや転職・就職でのアピールが可能です。

ロサンゼルスのタックスリターン

los angeles tax

ロサンゼルスはカリフォルニア州に位置しており、カリフォルニア州の税務当局であるCalifornia Franchise Tax Boardが州所得税の申告と納税を管理しています。ロサンゼルスに住む個人やビジネスオーナーは、連邦所得税と同様にカリフォルニア州所得税も申告する必要があります。

カリフォルニア州のタックスリターンにについてはこちら

タックスリターンについてロサンゼルス独自のプロセスはありませんが、ロサンゼルスには独自の税制度がいくつかあります。

Mansion Tax(高額不動産譲渡税)

Mansion Tax(高額不動産譲渡税)は、2023年4月1日から施行され、ロサンゼルス市内で500万ドル以上の不動産を譲渡する際に課されます。この税金は、手頃な価格の住宅プロジェクトに資金を提供し、ホームレスの危険にさらされているテナントにリソースを提供するために設立されました。

具体的には、500万ドル以上の不動産には4%、1000万ドル以上の不動産には5.5%の税率が適用されます。この税金の導入により、ロサンゼルス市はすでに多額の税収を得ており、ホームレス対策や低中所得者向けの住宅建設の財源として活用されています。

この税制は、市民からの支持を受けており、特に富裕層からの税収を社会的に有益なプロジェクトに活用するという点で評価されています。

他にもロサンゼルス市には以下のような税金があります。

  • ビジネス税 – Business Tax: ロサンゼルス市では、ビジネスを運営する企業に対してビジネス税が課されます。税率はビジネスの種類や規模によって異なります。
  • ホテル税- Hotel Tax (Transient Occupancy Tax): ロサンゼルス市内のホテルや宿泊施設に宿泊する際に課される税金です。宿泊料金の一部として徴収されます。
  • 駐車税 – Parking Occupancy Tax: ロサンゼルス市内の駐車場を利用する際に課される税金です。駐車料金の一部として徴収されます。

カリフォルニア州のタックスリターン

california tax

カリフォルニア州のタックスリターンは、連邦所得税と同時に報告するのが一般的です。カリフォルニア州の税務当局であるCalifornia Franchise Tax Boardは、連邦所得税の申告と同じ期限である4月15日を申告期限としています。これにより、納税者は連邦所得税と州所得税を同時に申告することができるため、申告書の作成から報告の提出まで連邦所得税と同時に行うのが一般的です。税理士もTurboTaxなどのツールもそのように対応しています。

  • 高い所得税率: カリフォルニア州の所得税率は全米で最も高い部類に入ります。最高税率は13.3%で、これは連邦所得税と合わせると非常に高い税負担となります。連邦税の最高税率37%を合わせると高額所得者は50%を超える所得税を課されることになります。
  • 累進課税制度: カリフォルニア州も連邦政府と同様に累進課税制度を採用しており、所得が高いほど高い税率が適用されます。
  • 控除とクレジット: カリフォルニア州には、住宅ローン利息控除や教育費控除など、さまざまな税額控除があります。これにより、納税者は税負担を軽減することができます。
  • 高い不動産税: カリフォルニア州の不動産税率は比較的低いですが、住宅価格が高いため、実際の税負担は大きくなります。
  • 消費税: カリフォルニア州の消費税率も高く、州全体で平均的に高い税率が適用されています。

個人所得税(州税)を徴収しない州

state tax

アメリカにおいて個人所得税(州税)を徴収しない州とその税当局のウェブサイトを以下の表にまとめました。

これらの州では個人の所得税(Income Tax)は徴収しませんが、消費税や不動産税、利子や配当所得に対して税金が課される場合があるので各州のルールを確認するようにしてください。

州名税当局ウェブサイト
アラスカ州http://tax.alaska.gov/
フロリダ州https://floridarevenue.com/
ネバダ州https://tax.nv.gov/
サウスダコタ州https://dor.sd.gov/
テネシー州https://www.tn.gov/revenue
テキサス州https://comptroller.texas.gov/
ニューハンプシャー州http://www.revenue.nh.gov/
ワシントン州https://dor.wa.gov/
ワイオミング州http://revenue.wyo.gov/

アメリカと日本の確定申告の違い

tax return difference us vs japan

日本では、会社員や公務員などは年末調整によって所得税が調整されるため、特別な場合を除いて確定申告をする必要はありませんが、アメリカでは確定申告を「タックスリターン(Tax Return)」と呼び、給与所得者、自営業者、投資所得者など、収入がある人は全員、連邦IRSと州の税務当局に確定申告書を提出する必要があります。

主な違い

  • 申告義務: アメリカでは全ての収入がある人が確定申告を行う必要がありますが、日本では特定の条件を満たす場合のみです。
  • 申告方法: アメリカでは、連邦税と州税の両方を申告する必要がありますが、日本では一箇所にまとめて申告します。
  • 税理士の利用: アメリカでは、納税者が自ら税金を計算し申告することが一般的であり、税理士の助けを借りることが多いです。一方、日本では、会社員や公務員は年末調整によって税金が調整されるため、税理士の利用は自営業者や特定の条件を満たす個人に限られます。

アメリカの確定申告

  • 申告義務者: アメリカでは、給与所得者、自営業者、投資所得者など、収入がある人は全員、連邦IRSと州の税務当局に確定申告書を提出する必要があります2。
  • 申告期限: 毎年4月15日が申告期限です。
  • 税率: アメリカの所得税は累進課税制度を採用しており、連邦税と州税が存在します。
  • 控除: 住宅ローン利息控除や教育費控除など、さまざまな税額控除があります。
  • 税理士との関係: 所得税については源泉徴収の仕組みが無く、仕組みを複雑であるため、多くの個人が税理士の助けを借りることが一般的です。

日本の確定申告

  • 申告義務者: 日本では、会社員や公務員などは年末調整によって所得税が調整されるため、特別な場合を除いて確定申告をする必要はありません。
  • 申告期限: 毎年3月15日が申告期限です。
  • 税率: 日本の所得税も累進課税制度を採用していますが、最高税率は45%です。
  • 控除: 医療費控除や住宅ローン控除などがあります。
  • 税理士との関係: 所得税の源泉徴収の仕組みがあるため会社員や公務員にとっては税理士はあまりなじみがなく、確定申告が必要な個人や自営業者、企業が税理士を利用することが一般的です。特に、複雑な税務処理や節税対策を必要とする場合に税理士の助けが求められます。

2024年の所得税率 – アメリカ連邦と州

tax rule update 2024

アメリカの個人所得税の概要

アメリカの個人所得税は、連邦所得税と州所得税の2つに分かれています。連邦所得税は全ての州で共通ですが、州所得税は州ごとに異なります。

連邦所得税

連邦所得税は累進課税制度を採用しており、所得が増えるにつれて税率も上がります。2024年の連邦所得税率は以下の通りです:

  • $0~$11,600: 10%
  • $11,600~$47,150: 12%
  • $47,150~$100,525: 22%
  • $100,525~$191,950: 24%
  • $191,950~$243,725: 32%
  • $243,725~$609,350: 35%
  • $609,350以上: 37%

州所得税

州所得税は州ごとに異なり、税率や課税方法も異なります。例えば、カリフォルニア州では累進課税制度を採用しており、最高税率は13.3%です。

カリフォルニア州の個人所得税率

カリフォルニア州は累進課税制度を採用しており、所得が増えるにつれて税率も上がります。2024年のカリフォルニア州の個人所得税率は以下の通りです:

  • $0~$9,325: 1%
  • $9,325~$22,107: 2%
  • $22,107~$34,892: 4%
  • $34,892~$48,435: 6%
  • $48,435~$61,214: 8%
  • $61,214~$312,686: 9.3%
  • $312,686~$375,221: 10.3%
  • $375,221~$625,369: 11.3%
  • $625,369~$1,000,000: 12.3%
  • $1,000,000以上: 13.3%

追加の税金

カリフォルニア州では、特定の高所得者に対して追加の税金が課されます。例えば、年間所得が1,000,000ドルを超える場合、追加で1%の「精神衛生サービス税」が課されます。